僕は、平成11年に『やきとり天国』で作家デビューしました。
この本は、地域のやきとり店インタビューや、今治やきとりの歴史、地元アンケート(といっても300人ほどですが)による人気店や人気メニュー、エッセイ、イラストなどの、豊富な、言い換えればごった煮的な内容で構成されています。
作家のテーマはデビュー作に全て網羅されているといいますが、僕の本づくりもまた、デビュー作に全てが含まれているようです。

1.絵や図によるわかりやすい解説
2.専門的な言葉を少なくして、みんなにわかるようにする
3.豊富なエピソードを入れて、そのイメージがよくわかる
4.事実や検証に基づいた確かなエビデンス
5.意外なことを入れて、印象付ける
6.疑問点を明記して、その解決をはっきりさせる
7.楽しくなる紙面づくり

以上が、僕の本づくりに流れている要素です。

基本的に、僕の本は専門家向けではなく、初心者向けなので、誰でもがわかりやすく楽しめる本づくりを最初から目指していました。また、多くの人たちに楽しんでもらえるよう、時代のニーズや傾向も積極的に取り入れています。これは、僕が働いてきた広告やマーケティングの手法を考えた本づくりをしているからだと思います。

そのため、表面をさらりと流しただけではないかと思われがちですが、そんなことはありません。自分が納得するまで、本の海を泳ぎきり、本のカタチにするという目的にたどり着くまで、とことん調べます。専門用語だとなかなか伝わらないので、誰にもわかる言葉を探します。
みんなの目に晒されることの少ない地元の歴史研究家とは違い、突飛なことを我田引水の理屈でねじ伏せるということはできません。多くの方が目にするものだからこそ、エビデンスという裏付けを大切にして、自説を納得していただく必要があります。
それを実現するために、わかりやすく、イラストやフロー、表を使って、読みやすい紙面づくりを目指しているのです。

僕が多く取り上げたいと考えているのは「食文化」「夏目漱石を始めとする明治の文人」「四国の民俗文化」です。これらは、今までに培ってきた経験や資料、調査が生かせる分野だからです。僕の家は、図書館さながらに、これらの資料がすぐ探せるようにしています。自分の納得する答えを得るためには、先人たちが築いてきた資料の積み重ねが、とても大切だと考えています。そして、これらの資料から、僕の一番興味のある「人間」というテーマが導けたらいいなと思います。
 
僕はデザイナーでもありましたから、見た目も大事だと考えています。僕が下手なマンガを入れるのは、その方がわかりやすいからです。親しみやすくなるからです。
さまざまな制約のある商業出版ですが、こうした方法でわかりやすく、面白い本をお届けしたいと思います。


 

 


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