歴史の中で、僕が一番興味があるのは、明治時代です。
開国によって、欧米の文化が急激に流入し、大変革の時代となりました。経済や行政機構、交通手段、教育、産業、ファッション、食に至るまで、日本人の生活は大きく様変わります。日本人は、こうした変化を受け入れ、日本にあったスタイルに変化させていくのが得意です。
和魂洋才の人々の中から、明治の文人たちが登場してきました。
江戸時代の戯作に飽き足らなくなった文人たちは、発展していく日本の中で、個人や自由といった欧米風の考え方を咀嚼し、発展する社会の中で葛藤する人々の心を描写し始めます。華美に装飾された文体を捨てた言文一致のリアルな文体で、写実主義・浪漫主義・自然主義・反自然主義などと掲げるテーマは異なりますが、これらの諸派が切磋琢磨して近代的文学を確立していきます。

漱石の作品群は、明治という新しい時代を迎えたインテリたちの苦悩を描写しています。
漱石は、明治という時代で傷ついた心を吐露しています。知力に優れ、妥協できない性格だからこそ、余計に傷ついた心の平安を求めてペンを走らせたと思います。
だから、抜群に面白いストーリーテラーでありながら、読後にどこか苦味を感じます。

僕は、そうした作品群の評価や分析は、文芸評論家の方々に任せて、漱石を取り巻く明治の食文化やファッション、温泉など、漱石の生活感や日常を皆さんに知っていただきたいと考えています。文豪としての漱石ではなく、人間・漱石の一面を記す琴で、広範な漱石の魅力の一部でも伝えられることができるのではないかと考えています。

わかりやすく、面白く、へそ曲がりで、変人で、偏食で、おたんちん。そんな複雑な漱石の魅力をエピソードや作品の描写からお伝えしたい。そんな気持ちで、漱石の本を出していきたいと思います。

漱石関係で予定しているのは『西洋料理好き漱石(9月発売)』、漱石と温泉の関係を書いた『湯けむり漱石(10月発売)』、漱石と甘いものの関係を綴った『スイーツ系漱石』、漱石とおしゃれを調べた『ハイカラ漱石』、門人たちの交流を描く『漱石周辺の人と食』、漱石の人生と食の関係を調べた『食いしんぼう漱石』、漱石の利用した飲食店や施設を紹介する『漱石ゆかりの店』など。
子規関係では、子規と食べ物の関係を書いた『子規即是喰』、子規と旅と食を綴る『子規の旅食記』、子規と仲間たちの食の交流を調べた『子規たちの食交記』などを予定しています。また、今までに書いた『子規の生涯』『のぼさんとまつやま』に加筆して電子出版化します。


 

 


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